半環の直積

半環がいくつかあるときに、その直積を半環として考える事が出来ます。

構造を知らべるときはよく知っていいるものの直積に分解して考えます。

半環の直積

\(S_1,S_2\) を半環として, \(0_1,0_2\) をそれぞれの零元, \(1_1,1_2\) をそれぞれの単位元とする.
集合としての直積 \[S_1\times S_2=\left\{\ (s_1,s_2)\ |\ s_1\in S_1,\ s_2\in S_2\ \right\}\] 上に二項演算 \(+\) と \(\cdot\) を \((s_1,s_2),\ (s_1^\prime,s_2^\prime)\in S_1\times S_2\) に対して \[
(s_1,s_2)+(s_1^\prime,s_2^\prime)=(s_1+s_1^\prime,s_2+s_2^\prime)\\
(s_1,s_2)\cdot (s_1^\prime,s_2^\prime)=(s_1s_1^\prime,s_2s_2^\prime)
\] で定義すると \(S_1\times S_2\) は半環となる.
この半環を \(S_1,S_2\) の直積(direct product)という.
\(S_1\times S_2\) の零元は \((0_1,0_2)\), 単位元は \((1_1,1_2)\) である.

自然数半環 \(\mathbf{N}\) に対して, \(\mathbf{N}\times\mathbf{N}\) の元は \((n,m)\ (n,m\in \mathbf{N})\) の形をしていて,
零元は \((0,0)\), 単位元は \((1,1)\) です。

例えば

  • \((1,2)+(4,8)=(5,10)\)
  • \((3,0)\cdot(8,4)=(24,0)\)
  • \((1,2)+(0,0)=(1,2)\)
  • \((1,2)\cdot(1,1)=(1,2)\)

のような演算です。

任意個の半環の直積

半環の族 \(\{S_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}\) に対して, その直積 \[
\prod_{\lambda\in\Lambda}S_\lambda=\left\{\ (s_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}\ |\ s_\lambda\in S_\lambda\ \right\}
\] 上に二項演算 \(+\) と \(\cdot\) を \((s_\lambda)_{\lambda\in\Lambda},\ (s_\lambda^\prime)_{\lambda\in\Lambda}\in\prod_{\lambda\in\Lambda}S_\lambda\) に対して \[
(s_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}+(s_\lambda^\prime)_{\lambda\in\Lambda}=(s_\lambda+s_\lambda^\prime)_{\lambda\in\Lambda}\\
(s_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}\cdot (s_\lambda^\prime)_{\lambda\in\Lambda}=(s_\lambda s_\lambda^\prime)_{\lambda\in\Lambda}
\] で定義すると \(\prod_{\lambda\in\Lambda}S_\lambda\) は半環となる.

ただし \(\Lambda=\emptyset\) の場合, 空積 \(\prod_{\lambda\in\Lambda}S_\lambda\) は1元集合となるので零半環 \(\{0\}\) とみなす.

零元は \((0_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}\) であり, 単位元は \((1_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}\) である.


\(S\) をある半環として, 任意の \(\lambda\in\Lambda\) に対して \(S_\lambda=S\) の場合は \(\prod_{\lambda\in\Lambda}S_\lambda\) を \(S^\Lambda\) と書くこともある.
特に \(|\Lambda|=n\) のとき \(S^\Lambda\) を \(S^n\) と書く.

特に \(\Lambda=\{1, 2, 3,\ldots,n\}\) のとき \[\prod_{i=1}^nS_i=S_1\times S_2\times\cdots\times S_n\] のように書いたりします。

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