極大イデアル
可換環 \(R\) のイデアル \(I\) が, \(I\neq S\) かつ,イデアル \(J\) に対して
\[I\subset J\subset R\Longrightarrow J=I\ \ {\rm or}\ \ J=R\]
を満たすとき, \(I\) を \(R\) の極大イデアル(maximal ideal)という.
素イデアル
可換環 \(R\) のイデアル \(I\) が, \(I\neq S\) かつ
\[a,b\in R,\ ab\in I\Longrightarrow a\in I\ \ {\rm or}\ \ b\in I\]
を満たすとき, \(I\) を \(R\) の素イデアル(prime ideal)という.
順序環
環の構造と順序を同時に考える順序環を紹介します。
整数の定義
自然数を使って整数を定義します。
整数の演算は自然数の演算を用いて自然に定義されます。
ユークリッドの互除法
2つの整数 \(m, n\) に対して, 以下の手続きを行う事で最大公約数を得られる.
1.\(n=0\) ならば \(m\) を最大公約数として終了する.
2.\(m\) を \(n\) で割り, その余りを \(r\ (0\leq r<|n|)\) とする.
3.\(n\) を新たな \(m\), \(r\) を新たな \(n\) とみなし, 1. に戻る.
商体
\(R\) を可換な整域とする. \(S=R\,\backslash\{0\}\) とすると \(S\) は積閉集合である.
この \(S\) による局所化 \(S^{-1}R\) は \(R\) を含む最小の体となり,\(R\) の商体や分数体と呼ばれる.
また, \(\mathrm{Q}(R), \mathrm{Quot}(R),\mathrm{Frac}(R)\) のように書いたりする.
環の直積
\(R_1,R_2\) を環として, \(0_1,0_2\) をそれぞれの零元, \(1_1,1_2\) をそれぞれの単位元とする.
集合としての直積 \[R_1\times R_2=\left\{\ (r_1,r_2)\ |\ r_1\in R_1,\ r_2\in R_2\ \right\}\] 上に二項演算 \(+\) と \(\cdot\) を \((r_1,r_2),\ (r_1^\prime,r_2^\prime)\in R_1\times R_2\) に対して \[
(r_1,r_2)+(r_1^\prime,r_2^\prime)=(r_1+r_1^\prime,r_2+r_2^\prime)\\
(r_1,r_2)\cdot (r_1^\prime,r_2^\prime)=(r_1r_1^\prime,r_2r_2^\prime)
\] で定義すると \(R_1\times R_2\) は環となる.
この環を \(R_1,R_2\) の直積(direct product)という.
\(R_1\times R_2\) の零元は \((0_1,0_2)\), 単位元は \((1_1,1_2)\) である.
1変数多項式環
\(R\) 係数の \(X\) に関する多項式全体の集合を \(R[X]\) と書き, \(R\) 上の1変数多項式環(polynomial ring in one variable) という.
体の定義
空でない集合Kが体(field)であるとは, Kは可換環であり,乗法群が0以外の元の集合であることをいう.
整域
可換環Rが0以外に零因子を持たないとき,Rを整域(integral domain)という. 整数環 \(\mathbf{Z}\) は整域です。