整数の順序

自然数順序が定義されたように、整数にも順序を定義できます。

自然数の順序を用いて、整数に順序を定義します。

ここで定義する順序は通常の整数の大小関係に一致します。

整数の順序付け

整数環 \(\mathbf{Z}\) の部分集合として \(0\) より大きい自然数の集合 \(\mathbf{N}^+=\{1,2,3,\ldots\}\) を考える.
\(\mathbf{N}^+\) は \(\mathbf{Z}\) の順序付けである.

証明

\(m\in\mathbf{Z}\) ならば, \(l\) を \(0\) より大きい自然数とするとき, \(l,0,-l\) のいずれかに一致するので
\(m\in\mathbf{N}^+\) または \(m=0\) または \(-m\in\mathbf{N}^+\) のうちいずれか1つだけ成り立つ.

また \(a,b\in\mathbf{N}^+\) に対して, 明らかに \(a+b,ab\in\mathbf{N}^+\) であるから
\(\mathbf{N}^+\) が \(\mathbf{Z}\) の順序付けであることがわかる.

整数環の順序

\(\mathbf{Z}\) は順序環である.

証明

この順序が通常の整数の大小 \[\ldots<-3<-2<-1<0<1<2<3<\ldots\] に一致することを見ますが、これは任意の自然数 \(m\) に対して

  • \(m<m+1\)
  • \(-(m+1)<-m\)

を示せばいい。

\((m+1)-m=1\in\mathbf{N}^+\) より \(m<m+1\) である。

\(-m-(-(m+1))=1\in\mathbf{N}^+\) より \(-(m+1)<-m\) である。

整数の絶対値

整数 \(m\in\mathbf{Z}\) に対して \[|m|=\begin{cases}\ m&(m\geq 0) \\ \ -m&(m<0)\end{cases}\] を \(m\) の絶対値(absolute value)という.
絶対値は写像 \(|\cdot|\ :\ \mathbf{Z}\to\mathbf{N}\) とみなせる.

絶対値の性質

任意の整数 \(m,n\in\mathbf{Z}\) に対して以下が成り立つ;

  1. \(|m|\geq0\).
  2. \(-|m|\leq m\leq |m|\).
  3. \(|m|=0\) ならば \(m=0\).
  4. \(|-m|=|m|\).
  5. \(|m+n|\leq|m|+|n|\).
  6. \(|mn|=|m||n|\).
証明

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