剰余環

において、における剰余群のように剰余環を考える事が出来ます。

群の時は正規部分群に対してでしたが、環の場合はイデアルに対して定義できます。

剰余環

環 \(R\) とその両側イデアル \(I\) に対して, \(R\) 上の関係 \(\sim_I\) を \[a\sim_I b \Longleftrightarrow a-b\in I\] で定義すると \(\sim_I\) は同値関係となる. 同値類の集合 \(R/\sim_I\) を \(R/I\) と書く.
\(R/I\) の元で \(a\in R\) を含むものは \(a+I\) の形をしている.

\(R/I\) に和と積を

  • \((a+I)+(b+I)=(a+b)+I\)
  • \((a+I)\cdot(b+I)=ab+I\)

で定義すると, \(R/I\) は環となる. この環を \(R\) の \(I\) に関する剰余環(residue class ring)という.

\(R/I\) の零元は \(0+I=I\), 単位元は \(1+I\) である.

\(R\) が可換環なら \(R/I\) も可換環.

整数環 \(\mathbf{Z}\) と元 \(m\in \mathbf{Z}\) に対して \((m)\) はイデアルです。

このとき \(\mathbf{Z}/(m)\) は \(m\) 個の元を持つ可換環となっています。

さらに具体的に, 例えば \(m=5\) のとき \[\mathbf{Z}/(5)=\{(5),1+(5),2+(5),3+(5),4+(5)\}\] のような形になっていて, 演算は

  • \((2+(5))+(4+(5))=1+(5)\)
  • \((2+(5))(3+(5))=1+(5)\)

などのようになる。

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