群の準同型定理(第二同型定理)

第一同型定理第三同型定理は別の記事で紹介しています。

準同型定理(第二同型定理)

群 \(G\) に対して, \(N\) を正規部分群, \(H\) を部分群とするとき,

  • \(HN=NH\) は \(G\) の部分群
  • \(N\) は \(HN\) の正規部分群
  • \(H\cap N\) は \(H\) の正規部分群

であって \[H/H\cap N\cong HN/N\] が成り立つ.

証明

\(N, H\subset HN\) なので \(NH\subset HN\). 同様に \(H, N\subset NH\) なので \(HN\subset NH\). ゆえに \(HN=NH\).

任意の \(h_1,h_2\in H,\ n_1,n_2\in N\) に対して \(h_1n_1^{-1}h_1^{-1}\in N\) なので \[
(h_1n_1)(h_2n_2)=h_1h_2(h_2^{-1}n_1h_2)n_2\in HN\\
(h_1n_1)^{-1}=n_1^{-1}h_1^{-1}=h_1^{-1}(h_1n_1^{-1}h_1^{-1})\in HN
\] が分かる. よって \(HN\) は \(G\) の部分群.

\(N\) は \(G\) の正規部分群なので \(HN\) の正規部分群でもある.

ここで, 写像 \[\begin{eqnarray*} f\ :\ &H\quad&\longrightarrow&\quad HN/N&\\ &h\quad&\longmapsto&\quad hN&\end{eqnarray*}\] は全射準同型であり, \[hN=N\Longleftrightarrow h\in N\] なので, \(\mathrm{Ker}\,f=H\cap N\) を得る. したがって, 準同型定理(第一同型定理)より \[H/H\cap N\cong HN/N\] が成り立つ.

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