2022-03

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商体

\(R\) を可換な整域とする. \(S=R\,\backslash\{0\}\) とすると \(S\) は積閉集合である. この \(S\) による局所化 \(S^{-1}R\) は \(R\) を含む最小の体となり,\(R\) の商体や分数体と呼ばれる. また, \(\mathrm{Q}(R), \mathrm{Quot}(R),\mathrm{Frac}(R)\) のように書いたりする.
半環

半体の定義

空でない集合 \(S\) が半体(semifield)であるとは, \(S\) は半環であり, \(0\) でない \(a\in S\) に対して, ある \(b\in S\) が存在して \(ab=ba=1\) を満たすことをいう. 言い換えると, \((S\backslash\{0\},\ \cdot\ )\) が群であることをいう.
半環

半環の整性と簡約性

半環 \(S\) が \(0\) 以外に零因子を持たないとき, \(S\) は整(integral)であるという. \(S\) が左消約的かつ右消約的であるとき, \(S\) は簡約的(cancellative)または消約的であるという.
半環

半環の0-添加

環 \(S\) に対して, \(S\) の零元を \(0_S\) とする. \(S\) に新たな元 \(0\) を加えた集合 \(S^0=S\cup\{0\}\) を考える. \(S^0\) 上の演算 \(+,\ \cdot\) を \(a,b\in S\) に対しては \(S\) 上の演算 \(a+b, ab\) で定義し, \(a\in S^0\) に対しては\[a+0=0+a=a\\a\cdot0=0\cdot a=0\] で新しい元 \(0\) の演算と定義すると \(S^0\) は半環となる. この \(S^0\) を \(S\) の0-添加という.

群の直積

\(G_1,G_2\) を群として, \(e_1,e_2\) をそれぞれの単位元とする. 集合としての直積 \[G_1\times G_2=\left\{\ (g_1,g_2)\ |\ g_1\in G_1,\ g_2\in G_2\ \right\}\] 上に二項演算 \(\cdot\)を \((g_1,g_2),\ (g_1^\prime,g_2^\prime)\in G_1\times G_2\) に対して \[(g_1,g_2)\cdot (g_1^\prime,g_2^\prime)=(g_1g_1^\prime,g_2g_2^\prime)\] で定義すると \(G_1\times G_2\) は群となる.この群を \(G_1,G_2\) の直積(direct product)という.

環の直積

\(R_1,R_2\) を環として, \(0_1,0_2\) をそれぞれの零元, \(1_1,1_2\) をそれぞれの単位元とする. 集合としての直積 \[R_1\times R_2=\left\{\ (r_1,r_2)\ |\ r_1\in R_1,\ r_2\in R_2\ \right\}\] 上に二項演算 \(+\) と \(\cdot\) を \((r_1,r_2),\ (r_1^\prime,r_2^\prime)\in R_1\times R_2\) に対して \[ (r_1,r_2)+(r_1^\prime,r_2^\prime)=(r_1+r_1^\prime,r_2+r_2^\prime)\\ (r_1,r_2)\cdot (r_1^\prime,r_2^\prime)=(r_1r_1^\prime,r_2r_2^\prime) \] で定義すると \(R_1\times R_2\) は環となる. この環を \(R_1,R_2\) の直積(direct product)という. \(R_1\times R_2\) の零元は \((0_1,0_2)\), 単位元は \((1_1,1_2)\) である.
半環

半環の直積

\(S_1,S_2\) を半環として, \(0_1,0_2\) をそれぞれの零元, \(1_1,1_2\) をそれぞれの単位元とする. 集合としての直積 \[S_1\times S_2=\left\{\ (s_1,s_2)\ |\ s_1\in S_1,\ s_2\in S_2\ \right\}\] 上に二項演算 \(+\) と \(\cdot\) を \((s_1,s_2),\ (s_1^\prime,s_2^\prime)\in S_1\times S_2\) に対して \[ (s_1,s_2)+(s_1^\prime,s_2^\prime)=(s_1+s_1^\prime,s_2+s_2^\prime)\\ (s_1,s_2)\cdot (s_1^\prime,s_2^\prime)=(s_1s_1^\prime,s_2s_2^\prime) \] で定義すると \(S_1\times S_2\) は半環となる. この半環を \(S_1,S_2\) の直積(direct product)という. \(S_1\times S_2\) の零元は \((0_1,0_2)\), 単位元は \((1_1,1_2)\) である.
半環

半環のイデアル

半環 \(S\) の部分集合 \(I\) が \(a,b\in I\ \Longrightarrow\ a+b\in I\) \(a\in I,\ x\in R\ \Longrightarrow\ xa\in I\) を満たすとき, \(I\) を \(S\) の左イデアル(left ideal)という. また,
半環

部分半環

半環 \(S\) の空ではない部分集合 \(T\) が, \(S\) の二項演算で半環になるとき, \(T\) を \(S\) の部分半環(subsemiring)という. また, \(S\) の零元からなる集合 \(\{0\}\) と \(S\) 自身は \(S\) の部分半環であり, これらを自明な部分半環(trivial subsemiring)と呼ぶ.
半環

半環の局所化

\(S\) を可換半環, \(T\) を \(S\) の積閉集合とする. \((a,s), (b,t) \in S\times T\) に対して, ある \(u\in T\) が存在して \(uat=ubs\) となるとき \((a,s)\sim (b,t)\) と定義すると \(\sim\) は \(S\times T\) 上の同値関係となる.
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