平均と言ってもいろいろな種類があります。
その中から、相加平均・相乗平均・調和平均について紹介します。
それらの間に成り立つ関係はこちらを参照してください。
相加平均(算術平均)
\(n\) 個の実数 \(a_1,a_2, \ldots,a_n\) に対して,
相加平均または算術平均(arithmetic mean)を次の式で定義する:\[\frac{1}{n}\sum_{i=1}^na_i=\frac{a_1+a_2+\cdots+a_n}{n}\]
相乗平均(幾何平均)
\(n\) 個の \(0\) 以上の実数 \(a_1,a_2, \ldots,a_n\) に対して,
相乗平均または幾何平均(geometric mean)を次の式で定義する:\[\left(\prod_{i=1}^na_i\right)^{\frac{1}{n}}=\sqrt[n]{a_1a_2\cdots a_n}\]
調和平均
\(n\) 個の正の実数 \(a_1,a_2, \ldots,a_n\) に対して,
調和平均(harmonic mean)を次の式で定義する:\[\frac{n}{\displaystyle \sum_{i=1}^n\frac{1}{a_i}}=\frac{n}{\frac{1}{a_1}+\frac{1}{a_2}+\cdots+\frac{1}{a_n}}\]
例(相加平均)
相加平均は”普通の”平均です。
- \(2, 5\) の相加平均は \(\frac{2+5}{2}=\frac{7}{2}\)
- \(5, -1, 0, 3, -2\) の相加平均は \(\frac{5+(-1)+0+3+(-2)}{5}=1\)
例(相乗平均)
相乗平均を使う代表的な例として、成長率などの平均を求めるときに用いられます。
例えば、資産運用をして資産が1年目は30%増加、2年目は20%減少、3年目は15%増加したとします。
(100万円→130万円→104万円→119.6万円のような推移)
このとき、1年当たり何%増減しているのかを知りたい場合に幾何平均を使います。
\(\sqrt[3]{1.3\times 0.8\times 1.15}=1.0614765\)
から、1年当たり約6.15%増加していことになります。
相加平均を使ってしまうと \((1.3+0.8+1.15)/3=1.08333\) となり1年ごとに 8.3%増えていることになって 100万円\(\times (1.083)^3=\)127万円と実績と異なってしまいます。
例(調和平均)
調和平均を使う代表的な例として、速度の平均を求めるときに用いられます。
例えば、 車である道を行きは70km/hで帰りは50km/hで走ったとき、平均の速度は
\(\frac{2}{\frac{1}{70}+\frac{1}{50}}=58.333\)
から、約58.3km/hであることが分かります。
相加平均の \((70+50)/2=60\) では適切ではありません。
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