全単射と逆写像

集合を比べたり、構造を調べたりする際に大活躍する全単射と逆写像を紹介します。
全射と単射

全単射(bijection, bijective function)

写像 \(f\ \colon\ A\to B\) が全射かつ単射であるとき, \(f\) は全単射であるという.

逆写像(inverse mapping)

写像 \(f\ \colon\ A\to B\) が全単射であるとき, 任意の \(b\in B\) に対して \(f(a)=b\) となる \(a\in A\) がただ一つ存在する. よって, その対応を使った写像 \(f^{-1}\ \colon\ B\to A\) を \(f^{-1}(b)=a\ (where\ f(a)=b)\) を定義できる.
この \(f^{-1}\) を \(f\) の逆写像という.

逆写像と合成写像

写像 \(f\ \colon\ A\to B\) が全単射であるとき, 以下が成り立つ:

  1. \(f^{-1}\circ f = {\rm id}_A\)
  2. \(f\circ f^{-1}= {\rm id}_B\)

※ここで, \({\rm id}_A, {\rm id}_B\) はそれぞれ \(A, B\) 上の恒等写像.

ほとんど明らかなので証明は略.

実数全体 \(\mathbf{R}\) と正の実数全体 \(\mathbf{R}^+\) を考える. \(f\ \colon\ \mathbf{R}\to \mathbf{R}^+\) を \(f(x)=e^x\) で定義する. このとき \(f\) は全単射であって, \(f^{-1}(x)=\log x\)である. このとき

  • \((f^{-1}\circ f)(x)=x\ \ (on\ \mathbf{R})\)
  • \((f\circ f^{-1})(x)=x\ \ (on\ \mathbf{R}^+)\)

である.

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