1-添加と0-添加

半群単位元や零元を付け加えることが出来ます。このことは任意の半群がモノイドや零元付き半群に埋め込み可能であることを意味しています。

1-添加

半群 \(S\) に新しい単位元を加えることを考える.
新しい元 \(1\) を加えた \(S^1=S\cup \{1\}\) を考える. \(S^1\) の演算を \(x,y\in S\) に対しては \(S\) における積 \(xy\) で, 付け加えた \(1\) との演算は \(x\in S^1\) に対して \[1x=x1=x\] と定義する. すると \(S^1\) は半群となり, \(1\) は \(S^1\) の単位元となる. この \(S^1\) を \(S\) の 1-添加 という.

\(S\) に単位元 \(1_S\) が存在する場合でも, \(S^1\) で新しい単位元を付け加えます. このとき \(1_S\) は \(S^1\) の単位元ではない. ※単位元を持たない場合にのみ 1-添加を定義する場合もあります.

例(1-添加)

\(S=\{\ a, b, c\ \}\) で演算が \[\begin{array}{c|ccc} \cdot & a & b & c \\ \hline a & a & b & c \\ b & b & b & c \\ c & c & c & c \\ \end{array}\]であるとき, \(S^1\) の演算は\[\begin{array}{c|cccc} \cdot & a & b & c & 1 \\ \hline a & a & b & c & a \\ b & b & b & c & b\\ c & c & c & c & c \\ 1 & a & b & c & 1 \\ \end{array}\]のようになる. \(a\) は \(S\) の単位元であるが, \(S^1\) ではもはや単位元ではない. \(c\) は \(S\) でも \(S^1\) でも零元である.

0-添加

半群 \(S\) に新しい零元を加えることを考える.
新しい元 \(0\) を加えた \(S^0=S\cup \{0\}\) を考える. \(S^0\) の演算を \(x,y\in S\) に対しては \(S\) における積 \(xy\) で, 付け加えた \(0\) との演算は \(x\in S^0\) に対して \[0x=x0=0\] と定義する. すると \(S^0\) は半群となり, \(0\) は \(S^0\) の零元となる. この \(S^0\) を \(S\) の0-添加 という.

\(S\) に零元 \(0_S\) が存在する場合でも, \(S^0\) で新しい零元を付け加えます. このとき \(0_S\) は \(S^0\) の零元ではない. ※零元を持たない場合にのみ 0-添加を定義する場合もあります.

例(0-添加)

\(S\) を例(1-添加)と同じものとする. \(S^0\) の演算は\[\begin{array}{c|cccc} \cdot & a & b & c & 0 \\ \hline a & a & b & c & 0 \\ b & b & b & c & 0 \\ c & c & c & c & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ \end{array}\]のようになる. \(c\) は \(S\) の零元であるが, \(S^0\) ではもはや零元ではない. \(a\) は \(S\) でも \(S^0\) でも単位元である.

コメント

タイトルとURLをコピーしました