二つの半群の演算を保つ写像を用いて、半群の構造や性質を調べられます。演算を保つ写像のことを準同型写像といい、代数的構造を考える際にはよく出てきます。
半群準同型(semigroup morphism)
2つの半群 \(S,\ T\) に対して, 写像 \(f\ \colon\ S \to T\) が任意の \(x, y\in S\) に対して
\[f(xy)=f(x)f(y)\]
を満たすとき, \(f\) を \(S,\ T\) 間の準同型写像(homomorphism)または半群準同型(semigroup morphism)という.
特に, \(f\) が全単射であるとき,半群同型(semigroup isomorphism)といい, \(S\) と \(T\) は同型(isomorphic) であるという. このとき, 逆写像 \(f^{-1}\) も準同型写像(つまり同型写像)となっている.
\(S\) と \(T\) が同型であるとき, \(S\cong T\) と書く.
例
実数の集合を \(\mathbf{R}\), 正の実数の集合を \(\mathbf{R}^+\) とするとき, \((\mathbf{R}^+,\,\cdot\,), (\mathbf{R}, +)\) は半群である. \(\log\ \colon\ \mathbf{R}^+ \to \mathbf{R}\ ;\ x \mapsto \log(x)\) は準同型写像である. 実際\[\log(xy)=\log(x)+\log(y)\]さらに \(\log\) は全単射であるから \((\mathbf{R}^+,\,\cdot\,)\) と \((\mathbf{R}, +)\) は同型である.逆写像は \(x\mapsto e^x\).
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