Well-defined

集合 \(X\) 上の同値関係 \(\sim\) と, 集合 \(Y\) への写像 \(f\ \colon\ X \to Y\) があるときに,
\(f\) の性質を受け継いだ, 商集合 \(X/{\sim}\) から \(Y\) への写像 \(\tilde{f}\ \colon\ X/{\sim} \to Y\) を考えると良いことがある場合があります。この写像を定義できるかを判定する基準としてwell-definedという概念があります。日本語的には「矛盾なく定義される」とか言います。

Well-defined

集合 \(X\) 上の同値関係 \(\sim\) と, 集合 \(Y\) への写像 \(f\ \colon\ X \to Y\) に対して

\[x\sim x^\prime \Longrightarrow f(x)=f(x^\prime)\]

を満たすとき, \(f\) は同値関係 \(\sim\) に関してwell-definedであるという.

\(f\) がwell-definedであれば, 商集合からの写像 \(\tilde{f}\ \colon\ X/{\sim} \to Y\) を”自然”に定義できる.

例1

整数の集合 \(\mathbf{Z}\) とある正の整数 \(n\) を考える. \(a, b\in \mathbf{Z}\) に対して \(a-b\) を \(n\) で割ったときの余りが \(0\) であるとき, \(a\equiv b\) と定義する. このとき \(\equiv\) は \(\mathbf{Z}\) 上の同値関係となる.

ここで \(N=\{\ 0, 1, 2, \cdots, n-1\ \}\) と置き, 写像 \(f\ \colon\ \mathbf{Z} \to N\) を

\[f(a)=(\ a\ {\bf を}\ n\ {\bf で割ったときの余り}\ )\]

で定義すると, \(f\) はwell-definedである.

例2

例1と同じ状況を考える. \(n\) と互いに素な正の整数 \(m\) を取り, \(M=\{\ 0, 1, 2, \cdots, m-1\ \}\) とおく.
写像 \(g\ \colon\ \mathbf{Z} \to M\) を

\[g(a)=(\ a\ {\bf を}\ m\ {\bf で割ったときの余り}\ )\]

で定義すると, \(g\) はwell-definedではない.

例えば, \(n=7, m=11\) の時, \(6\equiv 13\)であるが, \(g(6)=6,\ g(13)=2\) であるから \(g(6)\neq g(13)\).


\(n, m\)を整数とするときの準同型 \(f\ \colon\ \mathbf{Z}/n\mathbf{Z} \to \mathbf{Z}/m\mathbf{Z}\) を考えるようとするときに上のようなことを使います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました